Carpediem Life
かわいいだけじゃない!『猫の恩返し』に隠されたメッセージ

かわいいだけじゃない!『猫の恩返し』に隠されたメッセージ

みなさんは『猫の恩返し』をご覧になったことはありますか?

 

かわいらしい猫がたくさん登場する、猫好きにはたまらない作品ですよね。

今回は、猫がかわいいというだけに留まらない、『猫の恩返し』に隠された深すぎるメッセージについて考察してみました。

 

当記事はネタバレを含みますので、まだ鑑賞されていない方はご注意ください!

 

 

「自分の時間を生きる」とは「カルペ・ディエム」だ!

作中で、バロンはハルに対して「自分の時間を生きろ」と語りかけます。では、この「自分の時間を生きる」とはどういうことでしょう?

(引用:https://www.ghibli.jp/works/mononoke/)

 

僕は、このメディアの名前にもある「カルペ・ディエム」、つまり「今この瞬間を楽しむ」ことだと考えています。そして、そのためには「自分で決めて行動すること」、つまり主体的に行動することが必要です。

 

では、ハルがどうやって「自分の時間を生きる」ようになったのか、最初から確認してみます。

 

 

ハルの特徴1:流されやすい

ハルは猫の国での体験をする前、周りに流されて、自分で決めることがあまりできていない状態だと言えます。

 

朝は寝坊するし、友人から掃除当番の交代をお願いされたときは、明らかに渋そうな顔をしながらも代わってあげています。

 

そして、猫の国に行くときも、「行きたい」と自分で決めて行ったわけではありません。「天国かもね、おいしいものいっぱい食べてお昼寝して、嫌なこともみんな忘れてさ」と、猫の国に肯定的な言葉を漏らしただけです。しかし、それがきっかけとなって猫の軍勢に勝手に連れて行かれてしまいました。

(引用:https://www.ghibli.jp/works/mononoke/)

 

さらに、最初は嫌がっていたものの、いざ猫の国につくと、のんきに原っぱに寝そべっています。ナトル(たれ耳、栗毛の猫王秘書)に「城へ行こう」と言われたときにも、「王様に悪いから」と言って、なんとなくで城について行ってしまうのです。

 

このようなハルの姿勢からは、「自分で決める」主体性を感じ取ることは難しいですね。

 

 

ハルの特徴2:自分でしたことを後悔する

もう1つの特徴が「後悔」です。

 

ハルは、「猫なんて助けなければよかった」と、ルーン(猫王子)を助けたことを後悔します。助けてしまったことで様々な「恩返し」を受け、挙句の果てに猫の国で自分自身が猫に変えられてしまったからです。

 

猫を助けた事自体は、自分で決めた、とても主体的な行動だと思います。自分自身もトラックにひかれてしまう可能性があったのに、それでもルーンを助けようとしていました。

 

しかし、こうした主体的な行動に自信を持つことができず、自分の身に降り掛かった災難、結果だけを見て、「やらなければよかった」と後悔するのです。

(引用:https://www.ghibli.jp/works/mononoke/)

 

 

ハルの変化

 終盤のハルのセリフを確認してみましょう。

 

「私、間違ってなんかいなかった。猫を助けたことも迷って苦しんだことも、みんな大切な自分の時間だったんだ。」

 

先ほど書いた通り、ハルは猫を助けたことを後悔していました。猫を助けてしまったから、こんなひどい目にあったんだ、と考えていたんです。

 

しかし、ここでハルは、「猫を助けるという選択は、紛れもなく自分でしたことだ」と気づいたのではないでしょうか。

 

ルーンを助けた時のハルは、紛れもなく主体的に行動していました。隣にいた友人が猫のことをろくに気にかけていなかったのとは対照的です。それにハルは、幼少期にユキ(白猫)にクッキーをあげて助けていたこともあります。

 

さらに言えば、バロンと出会ったきっかけとして、天からのユキの声を聞いて、それに素直に従ったことも大きいです。ここでも、誰かもわからない声を信用して「猫の事務所」を目指すというのは、一つの大きな決断です。

 

最後のシーンでバロンが言っている通り、ハルがバロンたちのことを「本当に必要とした」、その思いを確かに持ったからこそ、この出会いがあったのです。

(引用:https://www.ghibli.jp/works/mononoke/)

 

こうしたハルの主体的な行動によって、ハルの「今」が作られていました。つまり、ハルは、元々ちゃんと「自分の時間を生きる」ためのタネを持っていたのです。ただ、それに気づかないで、なんとなく流されてしまうことが多かった、それだけなんです。

 

つまり、猫の国での体験を通したハルの変化とは、「自分の決断や行動に自信を持てるようになったこと」と言えるでしょう。

 

 

「今この瞬間を楽しむ」ようになったハル

自信をもてるようになったハルは、物語の最後で「今この瞬間を楽しむ」事ができているように思います。

 

バロンには、「私あなたのことが好きになっちゃったかも」と、素直な思いを伝えています。かつて気になっている男子に声をかけられなかったのとは対照的です。

 

そして、朝も自分で起きて、紅茶をセットするまでになっていました。その都度味が変わるスペシャルブレンドも、バロンのリスペクトであるとともに、今を楽しんでいるからこその行動でしょう。

(引用:https://www.ghibli.jp/works/mononoke/)

 

自分の時間を生きるということは、自分の決断や行動に自信を持ち、今を楽しめるということなのだとということを、『猫の恩返し』は教えてくれました。ハルが変化していく姿は、私たちの背中をそっと押してくれるような気がしますね。

 

 

河内誠人のプロフィール画像

河内誠人

カルペディエムLIFE編集長。法学部で勉強中。数年ぶりに紙のカードゲーム(デュエルマスターズ)復帰しました。