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東大生が『呪術廻戦0』を考察!祈本里香が最後のセリフに秘めた思い

東大生が『呪術廻戦0』を考察!祈本里香が最後のセリフに秘めた思い

(サムネイル画像:TVアニメ『呪術廻戦』の公式Twitterより/© 2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 ©芥見下々/集英社)

 

こんにちは!東大2年の姜利英(かんりよん)です。今回は、大人気漫画『呪術廻戦』の劇場版、「呪術廻戦0」の登場人物の1人である「里香」に注目して考察していきます!

 

映画『劇場版 呪術廻戦0』は、「呪術廻戦」の主人公虎杖悠仁が物語の舞台となる呪術高専に入学する少し前のお話です。今作の主人公は乙骨憂太。幼い頃から特級過呪怨霊・祈本里香に取り憑かれた乙骨が、呪術高専に入学し、祈本里香の呪いを払うまでのストーリーを描いています。最後の乙骨と里香の別れのシーンには思わず涙した方も多いのではないでしょうか。

 

実はこの映画は、呪術廻戦がジャンプに連載される前の読切短編を原作にしています。映画を見てもし気になった方は、単行本『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』で読むことができるので、こちらもぜひご覧ください!

 

里香はなぜこんなに強いのか?

 

ところで、私はこの映画を見て、一つ疑問に感じたことがあります。それは、

「なぜ少女・祈本里香は、特級過呪怨霊となるほどの強い力を得たのか?」

ということです。

 

特定の一人の人間に憑りついて、その人物に危害がおよびそうになると発現する怨霊のことを「過呪怨霊」といいます。

 

その中でも、更に危険度が高い怨霊は、「特級過呪怨霊」らと呼ばれます。

 

この特級過呪怨霊の一体である祈本里香は、どのように生まれたのか。映画内で簡単な説明がなされていましたね。

 

乙骨の幼馴染である里香は、乙骨と将来の結婚を約束するほどの仲でした。しかし、乙骨の目の前で車に轢かれて死んでしまいます。

 

乙骨は、こうした里香の死を受け入れられず、里香がこの世に残っていてほしいと願いました。そして、里香もまた乙骨と共にいることをを望んだのです。これによって里香が乙骨にとりつき、特級過呪怨霊となりました。

 

そんな里香の力は凄まじいものでした。今作の最大の敵である夏油傑をして、「祈本里香を手に入れれば夏油の反乱の勝率を「99.9%」まで引き上げられる」と言わしめるほどです。

 

では、里香はなぜこんなに強大な力を持っているのでしょうか?

 

作中では、里香という怨霊を生み出した乙骨の血筋が良かったからだ、と語られました。呪術師界では、呪力や術式が遺伝するとされています。よって、血筋が良ければ、それだけ本人も強くなると考えられているのです。

 

五条先生の調査によって、乙骨は、超大物呪術師である菅原道真の子孫であることが判明していましたね。確かに、乙骨の先祖が道真となると、血縁上里香が強力になることもある程度納得がいきます。

 

しかし私は、これだけでは説明として不十分だと考えています。他にも要因があるのではないでしょうか?

 

そもそも、呪霊は人間の負の感情によって生まれます。そのとき、「どんな人間が、どれほど強い感情を持っていたか」という負の感情の強さが、呪いの強さに影響するのです。

 

私は、里香が生まれた時の負の感情の強さにこそ、里香の強さの鍵があるのではないかと考えています。

 

里香の抱える過去

 

ここで、里香の過去について考えてみましょう。

 

里香の幼い頃には、母親が原因不明の死を遂げています。さらに、里香が父親と登山に行った際には、二人は遭難してしまいます。父親は行方不明になってしまい、里香だけが山頂の避難小屋で発見されました。

 

こうして両親を亡くした里香は、祖母のもとに引き取られました。そこで祖母と一緒に過ごすのですが、祖母は、両親が亡くなったのを里香のせいだと考えていたのです。

 

里香が、祖母の作った茄子の煮浸しが大嫌いだったのも、おそらく祖母が里香に強く当たっていたからだと推測できます。

 

こうした背景のもと、里香は祖母に対して強烈な憎しみの感情を抱いていたのでしょう。これが1つ目の負の感情です。

 

さらに、もう1つの強い感情と考えられるのが、乙骨に対する歪んだ愛情です。

 

保護された里香は、検査入院をきっかけに乙骨と出会います。その後二人は同じ小学校に入学し、仲を深めます。そしてついには、乙骨に婚約指輪を渡すまでになるのです。乙骨に対する里香の強い愛が伺えますね。

 

乙骨が、夏油との最終決戦において、里香への愛のことを「純愛だよ」と答えていたのも印象的です。

 

しかし、この「愛情」について、五条悟は「愛ほど歪んだ呪いはないよ」と言っていました。0巻にて、里香が乙骨に渡した結婚指輪が実は母親の形見だったこと、しかも里香が祖母のタンスから盗んできたものだったことが明かされています。

 

祖母から盗んだ母の形見である指輪を婚約指輪として乙骨に渡すという行為、どこか病的な愛情を感じませんか?

 

幼くして両親を亡くし、引き取ってくれた祖母にも恨まれた里香。乙骨に対しては、純粋な愛情に加えて、病的な依存欲求も持ち合わせていたのではないかと考えています。

 

乙骨の優秀な血筋に加えて、このような2つの強い負の感情が里香の怨霊化の際に作用したとしたら、里香が特級過呪怨霊になったのも、納得がいく気がします。

 

最後のセリフに秘められた里香の思い

 

実は里香の最後のセリフ、

「里香はこの6年が生きてる時より幸せだったよ」

という言葉についても、里香の負の感情が伺えます。

 

6年とは、里香が怨霊になっていた期間です。そして、単に「この6年幸せだったよ」と言わずに、わざわざ「生きてる時より」と強調しているところが重要になります。

 

里香は、死んで特級過呪怨霊になったことで、祖母から解放されることができました。さらにそれだけではなく、乙骨にとりつくことで、ずっと乙骨のことだけを考えることができるようになったのです。

 

つまり、祖母への強い恨みからの解放と、乙骨への依存欲求の充足という、生きているときには果たせなかったこの2つを同時に果たすことができたのです。だからこそ里香は「生きてる時より」幸せだったわけですね。

 

こうした幸せさを強調する言葉からも、里香の2つの感情が特別で強力だったことが分かります。

 

いかがでしたか?今回は里香の強力さに注目して、その理由について考察してみました。

 

もう映画を見た人も、まだこれからという人も、この記事の観点を参考にしながら、改めて作品を楽しんでもらえたら嬉しいです!

 

姜利英(かんりよん)のプロフィール画像

姜利英(かんりよん)

教育事業部。現在東大農学部3年生。プロントのつぶつぶいちごミルクが好きすぎてプロントでバイトしようか悩んでいる。DTM勉強中。