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「読めば読むほど味が出る」東大生イチオシ小説

「読めば読むほど味が出る」東大生イチオシ小説

 

同じ作品を読んでいるのに、読んだ時の年齢によって感じることが違った、という経験をされている方は少なくないと思います。今回は、読むたびに得られるものが変化する、何度も読みたいイチオシのシリーズを紹介します!

 

今回ご紹介するのは、小野不由美さんの『十二国記』シリーズです。

 

1991年に一作目が公開された本書は今年で30周年を迎え、現在でも多くのファンに愛され続けています。舞台は私たちが住む世界と、地図上にない異世界「十二国」。二つの世界は、「蝕(しょく)」と呼ばれる地震に似た現象によってのみ行き来することができます。

 

そのストーリーについて、公式サイトでは以下のように述べられています。

 

〈十二国〉では、天意を受けた霊獣である麒麟が王を見出し、「誓約」を交わして玉座に据える。選ばれし王が国を治め、麒麟がそれを輔佐する。しかし、〈道〉を誤れば、その命は失われる。

 

気候、慣習、政治体制などが異なるそれぞれの国を舞台に、懸命に生きる市井の民、政変に翻弄される王、理想に燃える官史などが、丹念に綴られている壮大な物語である。

(公式サイト:https://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/

 

何やら難しそうな文体で説明されていますが、私が初めてこの作品を読んだのは中学生の時でした。当時の理解力でも十分楽しむことができたので、気負いしなくても大丈夫。

 

今回は、そんな『十二国記』の魅力を余すことなくお伝えしていこうと思います!

 

 

魅力①:圧倒的かつ緻密な世界観

 

十二国記のシリーズは既に15巻が発売されていますが、一番最初に読む場合のおすすめは『月の影 影の海』です。

 

私たちと同じ世界に住む女子高生「陽子」が、ある日いきなり「ケイキ」と名乗る金髪長身男に、異世界十二国」に連れ去られるところから物語は始まります。

 

十二国に連れ去られる過程はアクション作品さながら、十二国に着いてからはサバイバル作品さながらのストーリー展開となっています。

 

最初のうちは謎多き十二国ですが、徐々にその全貌が明らかになっていきます。実はこの十二国、設定がめちゃめちゃ細かいんです。

 

例えば、陽子が渡された剣と鞘。十二国に着いてから渡されたもので、絶対に鞘をなくしてはならないと言われていました。しかし、襲ってきた敵との交戦中に鞘をなくしてしまうこととなります。

 

それからは何故か、頭だけの猿が陽子の前に現れては、不安を煽るようなことを言って去っていくようになりました。

 

実はこの猿、剣と鞘の中に封印されていた妖魔(この世界に存在し、人を攻撃する魔物)だったのです。鞘をなくし、剣と鞘が別々になってしまったから、その封印から解き放たれて、持ち主である陽子の不安を煽り続けたということですね。

 

これだけでなく、そもそもの十二国の成り立ちやその制度についても緻密に構成されています。斬新かつ緻密な世界観でありながら、どこか現代にも似ているような部分を持ち合わせているため、十二国という存在をすんなり受け入れることができるのです。

 

設定が細かいと理解しきれないんじゃないの?と思う人もいるかもしれませんが、そんなことは全くありません。

 

少しずつ謎が明らかになっていくので、十二国の情報がどんどん鮮明になっていく感覚があります。「あのシーンはこういうことだったのか!」「だからあんな行動をとっていたのか!」というように、伏線がどんどん回収されていくのです。

 

伏線が綺麗に回収されていく快感、そして緻密な世界観と丁寧な描写が可能とする、まるでその場にいるような感覚。十二国の世界に惹き込まれていくこと間違いなしです。

 

 

魅力②:リアルすぎる「困難」に共感

 

十二国の世界観について聞いていると、ファンタジー作品という印象が強いと思います。

 

しかし、登場人物が直面する困難、世界で起きている不穏なことは、私たちが生きる現代に通づるものがとてもあるのです。

 

例えば、先ほどから登場している陽子。十二国に着いた後、ひょんなことからケイキとはぐれてしまうこととなります。

 

全く知らない世界。人間はいるものの何故か自分の命を狙ってくるし、森に逃げ込めば妖魔が夜な夜な襲ってきます。まさに死にかけながら、自分をさらった張本人であるケイキを探し続けます。

 

ここまで登場人物を追い詰めるの!?と思ってしまうくらい、大変な出来事が続きます。これは陽子のエピソードに限らず、他の登場人物についても同じことが言えます。

 

一般的なファンタジー作品では、魔法の力を使って解決してしまいそうですが、この作品では安易に解決できるようなことは決してないのです。

 

でも、そこがいい。私たちはもちろん魔法が使えませんし、取り返しのつかないことをしてしまったとしても、時間を巻き戻すことはできません。

 

だから、全部自分の力でなんとかしないといけない。自分の体と頭をフル活用して解決を試みる登場人物たちの姿は、私たちが困難に直面する状況と重なる部分があるのです。その姿には、勇気をもらえる部分もあるかもしれませんし、現状を打開する新しい発見があるかもしれません。

 

シリーズの中には、国同士の大きな困難から、人間関係に関する揉め事までさまざまな困難があります。だからこそ、どんな年代の人であっても共感できるストーリーなのです。

 

 

魅力③:登場人物たちの心に刺さる言動

 

十二国記シリーズの登場人物は、皆自分の軸を持っています。その軸から生まれる言動の数々は、本当に学びの多いものです。

 

私が一番気に入っているのは、半分人間、半分ネズミの楽俊という登場人物の言葉です。彼は死にかけていた陽子を救い、ケイキ探しまで手伝ってくれるお人好しでした。しかし、ある出来事から陽子はそんな彼を裏切ってしまいます。

 

離れ離れになった2人はその後無事再会を果たします。命の恩人を裏切った後ろめたさを感じている陽子に、楽俊が放った言葉がこちらです。

 

「おいらは陽子に信じてもらいたかった。だから信じてもらえりゃ嬉しいし、信じてもらえなかったら寂しい。それはおいらの問題。おいらを信じるのも信じないのも陽子の勝手だ。おいらを信じて陽子は得をするかもしれねえし、損をするかもしれねえ。けどそれは陽子の問題だな。」

 

「信じていたのに裏切られた」と悲しくなることはよくあることだと思います。でも確かに、信じているからといって、それにどう対応するかは相手の問題であって、自分が制御できる範疇にはないんですよね。

 

相手の問題、自分の問題として割り切って考えてみると、自分の中に存在していたモヤモヤが晴れていくんです。この本を読んだ当時、中学生の私は人間関係に悩んでいましたが、このセリフを読んでちょっとすっきりした感覚になったのを覚えています。

 

読む人の性格、置かれた状況によって、刺さる言動は異なってくると思います。中には、自分の生き方を変えてしまうきっかけとなるようなものとの出会いがあるかもしれません。

 

シリーズを読む際には、ぜひ自分のお気に入りを探してみてください。

 

 

まとめ

 

いかがだったでしょうか?

 

今回は十二国記の中でも、『月の影 影の海』を例に挙げましたが、他にも魅力的な作品が揃っています。十二国記シリーズに手を伸ばすきっかけとなれば幸いです。

 

このように、東大生がおすすめする本を紹介した、『東大生の本棚』という本の文庫版が、12月3日から発売しています!東大生の本の選び方や、東大生が実際におすすめする本177冊が載っているので、こちらもぜひご覧ください!

 

 

 

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めいちゃん

教育学部で勉強中。生き方はジブリから学びました。トトロのめいちゃんみたいな健康女子になることが夢。