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東大生おすすめ!「読めばあなたも法学を学びたくなる」入門書3選

東大生おすすめ!「読めばあなたも法学を学びたくなる」入門書3選

皆さん、読書は好きですか?

 

「大好きで、自分からどんどん本を買って読む」という人もいれば、「読書にはちょっと抵抗がある……」という人もいるでしょう。

 

今回は、「読書はちょっと……」という人でも読み進められて、かつ法律のことが勉強になる本、もっと自分から学びたいと思えるような本を3冊紹介します!

 

進路や学部選択で迷っている中高生の方はもちろんのこと、教養を深めたいと考えている大学生や一般の方まで、ぜひご覧ください!

 

 

①『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書、2012)

 

1冊目は、木村草太先生による『キヨミズ准教授の法学入門』です。

 

「法律と自分の生活って、どう関係があるんだろう?」「法律って、難しい言葉で書かれていて正直意味がわからない」

 

と思っている人、いませんか?本書は、そんなあなたにこそおすすめできる1冊です。

 

本書は、とある大学の先生、「キヨミズ准教授」が、高校生である主人公たちに、法学の歴史や基本的な考え方を教えるというものです。

 

小説形式で話が進むので、普段あまり本を読まない人でもスラスラと読み進めることができます。扱われるのも身近な例ばかりなので、「自分には関係ない」と思うことなく、親近感を持てるはずです。

 

例えば1つ例を紹介しましょう。本書のChapter4(p130-)は、主人公たちの通う高校で行われる文化祭が舞台です。主人公たちのいるクラスでとある企画を実施しようとしますが、これが「文化祭規約」に違反しているのではないか、と問題になりました。

 

主人公たちの企画は「街なかで撮った写真をパネルとして展示する」というものです。これが、写真に写り込んでいる一般人の肖像権を侵害するとして、「人格的権利を侵害する催しや企画をしてはならない」という文化祭規約に違反しているのではないか?ということが指摘されたのです。

 

そこで、キヨミズ准教授と主人公たちは、法学的な考え方を使って、自分たちの企画が規約違反していないことを説明しようとしました。

 

法学でよく出てくる考え方の一つに、「法解釈」というものがあります。これは、ある法律やルールの文言を詳細に見て、ひとつひとつの言葉が具体的に何を意味しているかを考えることです。キヨミズ准教授の言葉を借りれば、「そのままでは意味がわからない法文を、別の言葉に置き換えて明確に理解できるようにする作業」(p151)を指します。

 

こうして何やら難しい法律やルールを噛み砕いた上で、私たちが実生活で遭遇する様々な出来事を法律に当てはめるとどうなるか?ということを考えていきます。これが、法学の醍醐味の一つです。

 

文化祭の件でも、こうした考え方が登場しています。彼らが実際にどんな主張を展開したか、その詳細は是非本書(該当箇所はp165-173)を読んで確認してみてください。

 

なお、本書の著者である木村先生は東大法学部出身で、現在は東京都立大学で憲法学の教授をなさっています。もっと難解で本格的な本も多数執筆なさっているので、気になる方はそちらも見てみると面白いはずです。

 

 

②『憲法主義 条文には書かれていない本質』(PHP研究所、2014年)

 

1冊目は、法学というのがそもそもなんなのか、どういう考え方をする学問なのか、という全体的な入門書でした。大してこちらは、「憲法」という特定の分野についての入門書になります。

 

本書は、九州大学教授の南野森先生が、当時現役のAKB48メンバーだった内山奈月さんに語った講義をそのまま本にしたものです。会話形式で進むので、難しい表現もほとんどなく、スムーズに読み進めることができます。

 

南野先生の講義もさることながら、内山さんの反応が非常にためになります。基本的には、憲法を初めて本格的に学ぶ読者と同じ目線で疑問を投げかけてくれるので、「大学教授が何やら難しい話をしている」というような硬さはありません。

 

こちらも身近な事例を中心に説明してくれるので、自分のことに置き換えながら、内山さんと一緒に考えることができます。それでいて、学者の中でも答えが出ていないような本格的話題も扱われているので、本書だけでも憲法をかなり深く学ぶことができます。

 

例えば、「AKBの恋愛禁止は憲法違反か?」という話題(p86-87)は、憲法というルールを一般人同士の関係に適用してもいいのか(難しく言うと「憲法の私人間効力」の問題)に繋がります。

 

また、「アイドルの写真を勝手に撮るパパラッチはプライバシーの侵害に当たるか?」という話題(p93-97)は、そもそも「プライバシー権」が憲法上保障される権利に当たるのかという問題や、誰の写真なら撮ってもいいのか、境界線がどこにあるのかという問題に繋がります。

 

これらの議論は、いずれも法学部に入ってから本格的に勉強することです。僕自身すでに憲法の授業は履修しましたが、未だに理解しきっていないところがあります。まさに、内山さんと一緒に講義を受けて勉強している気分でした。

 

中高生が読んで勉強になるのはもちろん、大学生以上の方も新たな発見がたくさんあるはずです!

 

なお、本書の著者である南野先生は東大法学部出身で、現在は九州大学で憲法学の教授をなさっています。他にも評判が良く分かりやすい入門書を多数出版していらっしゃるので、調べてみてください。

 

そう言えば、先ほどの木村先生も憲法学がご専門でしたね。憲法学の専門家には、難解な事柄をわかりやすく説くのに長けた方が多いのかもしれません(笑)。

 

 

③『どこでも刑法#総論』(有斐閣、2019)

 

最後は、僕が実際に大学の授業で教科書として使っていた本を紹介します。

 

書名に「どこでも」という言葉やハッシュタグが使われていることからして、いかにも「わかりやすい感」が漂っていますよね。

 

本書は、その期待を裏切ることなく、刑法の基本問題を非常にわかりやすく解き明かしてくれています。さらに、本書は物理的なサイズが小さく、まさに「どこでも」読むことができるのが特徴的です。

 

今までに紹介した2冊とは異なり、文章は「だ・である」調です。全くの初心者には少しハードルが高いかもしれませんが、今まで紹介した2冊をかじった人、教科書などの少しお硬い文章を読み慣れている人なら全く問題ないでしょう。

 

本書の特徴は、「前から順に読めば刑法総論の全体像が掴める」ように順番が調整されていること、2部構成になっており、第2部が第1部の復習兼発展になっていることです。

 

事例が豊富なので、読者が具体的な情景から学びやすくなっています。実際の判例への言及も複数あるので、わかりやすさの割に、到達できるレベルはかなり高いです。

 

例えば、一般に有名な「正当防衛」について紹介します(p58-59)

 

事例56「Xは、Aが急に殴りかかってきたので、傍らにあった角材でAを殴打した。Aは傷害を負った。」

事例57「Xは、翌朝、Aが襲撃してくるという情報を得たので、夜のうちにA宅に侵入し、Aの両手を骨折させて、襲撃できないようにした。」

 

この2つの事例のうち、正当防衛が認められないのはどちらでしょう?

 

正当防衛を定める刑法36条1項では、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」とあります。

 

ここで「急迫……の侵害」とは、侵害の切迫性、つまりもうすぐ危険なことが起こりかけていることを求めています。これがないと正当防衛にならないよ、ということです。

 

よって、先ほどの事例57は、侵害が切迫しておらず、正当防衛が認められないことになります。

 

 

このように、事例があると一気にイメージしやすくなりますよね。

 

さらに、毎章の終わりには「刑法隠語」というコーナーがあります。ここでは、刑法に関係する様々な隠語が紹介されていて、思わずくすっとすること間違いなし(?)です。

 

なお、本書の著者である和田俊憲先生も東大法学部出身で、昨年から東大法学部で刑法の教授をなさっています。僕が2年生で受講していた刑法の授業が和田先生によるもので、非常にわかりやすく深い授業に引き込まれました。

 

本書も、そうした授業のエッセンスが詰め込まれたものになっています。ぜひお手にとってみてください!

 

 

まとめ

 

いかがでしたか?どれも読みやすく、法学の「入り口」にふさわしい本ばかりです。

 

3選のうちどれか1冊でも読んで、少しでも法学に興味を持ったり、法学部に行きたいと思ってもらえたら嬉しいです。

 

このように、東大生がおすすめする本を紹介した、『東大生の本棚』という本の文庫版が、12月1日から発売しています!

東大生の本の選び方や、東大生が実際におすすめする本177冊が載っているので、こちらもぜひご覧ください!

 

 

河内誠人のプロフィール画像

河内誠人

カルペディエムLIFE編集長。法学部で勉強中。数年ぶりに紙のカードゲーム(デュエルマスターズ)復帰しました。