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ベネディクトが『外伝』で最も魅力的だったと考えるわけ

ベネディクトが『外伝』で最も魅力的だったと考えるわけ

(画像は映画「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 -」公式HPより)

10月30日に続いて金曜ロードショーで放送された、京都アニメーションの大人気作品『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。

 

今日は、2019年に劇場で期間限定公開されていた『外伝』が放送されました。

 

今作でも大活躍だったイケメン配達人のベネディクト・ブルー。すでに魅力的なキャラクターですが、『外伝』のなかでは、魅力度が一番高まったと思うのです。

 

今回は、ベネディクトの魅力と、それがより一層高まった秘密に迫ります!

 

「毎日同じことの繰り返し……つまんねえ仕事だ」

ベネディクトは、登場するシーンの冒頭でこう言っていました。

 

勉強でも、仕事でも、スポーツの練習でも、同じことを漫然と繰り返すのはつまらないですよね。

 

僕は、同じことを繰り返すつまらなさの原因が、刺激に慣れてしまうこと、こんなに繰り返しても意味がないのではと思ってしまうことにあると考えています。つまり、「漫然と」行っているというところがポイントです。

 

このセリフの直前には、

 

「世の中が目まぐるしく進歩してても、郵便配達人の仕事は、何も変わらない。」

 

とも言っていました。

 

大きな電波塔の建設が進んでいたり、エレベーターが導入されていたり。周りがどんどん先へ進む中、自分だけは立ち止まっていなければならない。

 

こういう状況で、新しい刺激を受けることはなかなかできないでしょう。また、自分だけが置いていかれている感覚が強ければ、自分の仕事に意義を見出すのも難しいことです。

 

そして、意義を見出せなければ、それを続けるのもまた難しいはず。

 

しかし、郵便配達を繰り返すことで、ベネディクトには確実に身についていることがありました。それは、「たくさんの配達物を、地図を一度も見ずに配達すること」です。

 

ベネディクトが配達を完璧に終わらせる様子を見て、見習いのテイラーは感激します。

 

テイラーに褒められたベネディクトは「配達人なら、住所なんて全部頭に入ってるのが普通だぞ」と言いつつも、少し照れています。

 

「配達を効率よく着実に済ませる」という能力は、常人にはできないことです。こうした自分の能力、自分だからこそできることは、自分だけでは意外と気づきづらいですよね。

 

見習いのテイラーを「師匠」として引き連れつつ、淡々と仕事をこなしていくベネディクトの姿はまさに魅力的でした。

自分では気づけなかった、自分の仕事の意義

郵便配達人になりたいというテイラーに対し、

 

「なんで郵便配達人『なんか』になろうと思ったんだ」

 

と問いかけるベネディクト。

 

それに対してテイラーは、

 

「『なんか』じゃないよ、配達員が運ぶのは幸せだから」

 

と返します。

 

それもそのはず、テイラーにとって郵便配達人は特別な意義を持っていたのです。

 

断ち切れてしまっていたテイラーと「ねえね=エイミー」とのつながりを復興させてくれたのは、エイミーが書いてくれた1通の手紙でした。テイラーはその手紙を何度も何度も読み返して、「エイミー」と唱えることで、2人の絆が保たれたのです。

 

そして、その手紙を届けてくれたのが、郵便配達人のベネディクトでした

 

テイラーの「私も幸せを運ぶ人になりたい」とは、幸せを受け取った側だからこそ言える言葉でしょう。

 

人の想いは、相手に届いて初めて心を動かします。そして、物理的に離れ離れになっている人のところに想いを届けるためには、何らかのツールが必要です。作中の時代なら、手紙しかないでしょう。

 

つまり、その手紙を相手に届ける郵便配達人の仕事は、大変意義深いということになります。

 

ベネディクトは、自分の仕事が幸せの媒介に不可欠な、かけがえのない仕事だと気づけていなかった。だから、「つまらない仕事だ」と思ってしまっていたわけです。

 

人の想いを、幸せを運ぶ仕事だと気づけたのは、それを受け取った側であるテイラーが教えてくれたおかげですね。

 

「郵便配達は、とても素晴らしい仕事です。」

 

と、ヴァイオレットも言うとおりです。

「届かなくていい手紙なんて、ねえからな」

ベネディクトは、ヴァイオレットとテイラーに本気でお願いされて、正確な宛先さえわからない「エイミー」への手紙を届けることを決意します。このセリフは、その時のものです。

 

アニメ版の9話でも、「どれひとつ取ったって、誰かの大切な思いだからな。届かなくていい手紙なんてないんだ」と、同様の発言をしていますね。

 

(新しいバイクを買ってもらうという条件を付けるあたりは、ベネディクトのちゃっかりしたところが出ていて、これまた魅力的です。笑)

 

届かなくていい手紙、つまり届かなくていい想いなんてない。なら、そのために自分が動かなくてはならない。郵便配達人の仕事の本質は「人の想いを届ける」という事でした。

 

このことに気づいたベネディクトは、仕事をつまらないものではなく、自分こそやるべきこと、意義深い仕事だと改めて考えるようになったはずです。

 

たとえ表面的にはつまらないことの繰り返しだったとしても、詳細不明の住所探しという終わりの見えない作業だったとしても、自分のやることに意義があるという想いがあれば、継続していくことができる。

 

主体的に行動していくためには、その行動に対する想いが必要なのだということを、ベネディクトは教えてくれています。

 

ベネディクトの変化

最終盤、ひと仕事を終えたベネディクトは、テイラーの言葉にかぶせて

 

「俺達が運ぶのは幸せ、なんだろ」

 

と話します。

 

テイラーのいい兄貴分、師匠としてのかっこよさが一層強まった瞬間ですね。

 

最後には、最初のシーンで配達したのと同じおばあさんに手紙を届けます。最初は「だーかーら……」「世の中色々進歩してんの」と、嫌々ながらに応対しています。おばあさんの質問自体にうんざりしていたことに加え、自分だけが時代に置き去りになっている感覚から、心にも余裕がなくなっていたのでしょう。

 

しかし、最後のシーンで同じおばあさんに同じような質問をされた際、ベネディクトは表情から明らかに違いました。

 

おばあさんにかけた言葉も「そのうちな、そのうち」と、とても前向きな言葉です。建設途中の建物と、読み書きを習って成長中のテイラーを重ねたと見ることもできるでしょう。

 

いずれにせよ、仕事の意義を見出し、仕事と主体的に向き合えるようになったベネディクトは、これまでの姿から一層成長した、魅力的存在になったと言えるのではないでしょうか。

 

いかがでしたか?今回は、あえて今回の主役たる姉妹ではなく、ベネディクトの方に注目してみました。仕事の意義を見出したベネディクトの魅力は、これ以外にもたくさんあります。アニメの方でもその魅力は余す所なく現れているので、気になった方はぜひアニメまでご覧ください!

 

河内誠人のプロフィール画像

河内誠人

カルペディエムLIFE編集長。法学部で勉強中。数年ぶりに紙のカードゲーム(デュエルマスターズ)復帰しました。