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~作品から感じとる、伝える~ 東大推薦入試から読み解く、今求められる力とは?

~作品から感じとる、伝える~ 東大推薦入試から読み解く、今求められる力とは?

【東大推薦入試から読み解く、今求められる力とは?】

東大の推薦入試で求められている「力」は、一般入試で求められる学力とは一味違います。では、その「力」とはどんなものでしょうか。推薦入試を突破した東大生と対談することを通して、東大が求めている「力」、ひいては社会が求めているものに迫ります。

【東大推薦入試から読み解く、今求められる力とは?】

東大の推薦入試で求められている「力」は、一般入試で求められる学力とは一味違います。では、その「力」とはどんなものでしょうか。推薦入試を突破した東大生と対談することを通して、東大が求めている「力」、ひいては社会が求めているものに迫ります。

今回は、東京大学文学部の推薦生と一緒に要項を読んでいきます。

 

文学部の要項の詳細を確認したい方は、こちらからご確認ください。

 

文学部は「求める学生像」として、以下の3点を挙げています。

 

①人間のさまざまな精神的営み(言語・文学・思想・芸術等) や、人間の織りなす社会の歴史と現代の諸問題に関する探究心に富む

②自らの考えたことを口頭発表や論文などを通して、他者に伝える能力を有する

③将来、社会的な貢献が期待できる

 

東京大学文学部は文学や美術などから哲学、言語学、心理学など幅広い分野の研究室を有しています。今回は、「美術史学」をテーマにして合格した田村さん(2019年入学)と対談してきました。

 

ーー今日はよろしくお願いします。

 

 

田村さん:お願いします。

 

 

ーーまずは田村さんが推薦入試に向けて提出した資料について教えて下さい。

 

 

田村さん:人生を振り返って、自分の経験が活かせるのは文化芸術に関係するものだなと思ったのが、準備をするにあたっての始まりですね。中学生の時に合唱部で活動したり、高校生の時に歌舞伎やコンサートを観に行ったりと、文化芸術に触れる機会が多かったんです。

 

コンクールでの受賞経験などはなかった分、量で攻めようということで、ひたすら自分が訪れた美術展の感想をまとめ、提出しました。

 

 

ーー音楽から歌舞伎などの伝統芸能、造形作品まで幅広く触れられてきたんですね。それらに興味を持ったきっかけはなんだったんですか?

 

 

田村さん:幼い時、両親に科学館や歴史館、美術館など、さまざまなところに連れていってもらっていたことが大きいですね。その中でも美術館に興味を持ち、高校生になってからは自分1人でも美術館を訪れるようになりました。

 

また、自分が住んでいたのは多くの美術館にアクセスしやすい地域でした。そのような環境的な要因もありますね。

 

 

 

自分の考えを伝える

 

ーー要項には、「自らの考えたことを他者に伝える能力を有する」という要件が書いてありました。知識の習得はある程度努力すればできることですが、それをもとに探究を進めて自分の考えをまとめ、伝えるということはそれ以上に難しいことだと思います。自分の考えを伝えることの大切さは、どういったところにあると思いますか?

 

 

田村さん:会話することで新たな発想が出てくるというところだと思います。美術を例に挙げて考えてみると、感想を共有することで、よりさまざまな視点から作品を楽しむことができるということです。

 

とはいえ、美術作品の魅力はどうしてもわかりにくいことがありますよね。だからこそ、魅力を理解している人が自分の考えを発信していくことで、美術作品に興味がない人にも魅力を知ってもらい、興味を持てるようにする必要があるんだと思います。そういう意味でも、伝える能力は大切なのではないでしょうか。

 

 

ーー高校までの美術や音楽の授業では、作品を鑑賞して感想を書くことがよくあった覚えがあります。あれは、さまざまな視点を得て、それにより新たな魅力を発見することを狙っていたのかもしれませんね。

 

 

田村さん:博物館教育という観点からみると、美術には、作品が人々に何らかの刺激を与えることで、人々の心を豊かにするという効果があると思います。

豊かな鑑賞体験をするためには、作品に対して「面白いな」「きれいだな」という感想だけで終わってしまうのではなく、その作品を通じて自分が感じたこと・考えたことを言語化することも大事だと思います。。

 

 

ーーインプットだけでなく、アウトプットもあってこそ学びにつながるということですね。そうは言っても、「面白いな」「きれいだな」以上の感想が出てこないこともあると思います。そこで、感想を一歩進めるために必要なのはどのようなことだと思いますか?

 

 

田村さん:まずは目の前の作品を忠実に見ていくことだと思います。

 

例えば人物画なら人物に着目して、着ている服、性別などに注目してみたり。あとは、見た感じザラザラしている、つるつるしているというように、見えたものを言語化していくことで、作品への理解が深まると思います。

 

その作業を通じて、見えていなかったことに気づけるようになると、自分の感想も自ずと出てくるのではないかと思います。

 

 

ーー目の前の作品を細かくみていく、というのはすぐ実践できそうですね。

 

 

田村さん:大学の美術史の授業でレポート書く際にも、「とにかく作品を記述しろ」と言われます。

 

 

ーー研究においてもセオリーになっているんですね。

 

 

社会に貢献する

 

ーー続いて、要項の「社会的な貢献が期待できる学生」についてはどうアプローチしましたか?

 

 

田村さん:美術作品の魅力を伝えることを通じて、社会に貢献したいということをアピールしました。

 

それまでの人生を振り返った時に、美術館での経験を通じて学びを得られたという実感がありました。鑑賞を通じて学べることがあると思うからこそ、美術作品の魅力をもっと多くの人に伝え、多くの人に美術館に訪れてほしいと思うようになったんです。

 

また、美術作品を通じて多様な世界の見方を知ることができるとも思います。多様性を理解する上で必要なのではないかなと。

 

 

ーーたしかに、異文化の美術作品を見ると面白いと思いますし、そういった文化を媒介にして相手の国を近くに感じられるというのはよくあることな気がします。

 

ーー田村さんは現在文学部で美術史学について学ばれていると思いますが、授業を受けている中で、「これは社会に貢献できそうだな」と感じることはありますか?

 

 

田村さん:博物館の学芸員の資格を取るための授業では、作品の価値を正しく理解・保護し、未来に伝えていくことが非常に重要だと実感させられます。一口に守るといっても、価値がわかっている人でないとそれは容易ではありません。「そんなものを保護するために税金を使うな!」と批判され、廃棄されてしまうかもしれませんからね。人類が残してきた価値ある作品を、未来に継承する一端を担えればと思っています。

 

 

 

美術鑑賞の楽しさ

 

ーー「人間の精神的な営み」がある意義は、「人生を豊かにする」とか「心を育てる」などと言われることが多いと思います。とはいえこの表現はやや抽象的ですよね。田村さんとしては、この点についてどう思いますか?

 

 

田村さん:美術史が歴史学の一端を担っていることから、造形芸術の歴史を学ぶことを通じて、人の営みの歴史を知ることができるのは大きな意義だと思います。高尚な美術ほど時の為政者との関わりが多いですし、当時の宗教の様子を理解することもできます。

 

 

ーー「当時の人はこの絵をこうやって捉えていたんだな」「こんな人たちもいるんだな」というように、現代の自分にはない他者の視点を取り入れることで、人生の豊かさにも繋がっていくということなのですかね。

 

 

田村さん:そうですね。あとは単純に、知らないことを知る楽しさっていうのもあると思います。

 

 

ーーたしかに、作品鑑賞を通して知的好奇心を育てていくことができそうですね。最後に、普段は美術館などには訪れないような人たちに向けて、メッセージをお願いします。

 

 

田村さん:若いうちからいろいろな作品に触れることは、人生を豊かにするのにとても大事なことだと思います。色々な価値観を獲得できるようになるでしょうし、新たな刺激を受ければ勉強のモチベーションアップにもつながるかもしれません。息抜きがてら、たまには美術館に足を運んでみるのをおすすめします。

 

 

 

まとめ

 

今回は美術作品の鑑賞により得られるものと、そのためのコツについて知ることができました。

 

いきなり感想をアウトプットしようとするのではなく、まずは作品の観察から始めるというのは、簡単に実践できそうだと感じました。学生は無料、もしくはかなり安価で入場ができる美術館も多いので、たまには足を運んでみるのもいいですね。その際には、感じたことをアウトプットするのも忘れないようにしたいですね。

 

めいちゃんのプロフィール画像

めいちゃん

教育学部で勉強中。生き方はジブリから学びました。トトロのめいちゃんみたいな健康女子になることが夢。