Carpediem Life
辛い状況を捉え直す秘訣~可愛い子には旅をさせよ~

辛い状況を捉え直す秘訣~可愛い子には旅をさせよ~

 

「可愛い子には旅をさせよ」ということわざがあります。

 

デジタル大辞泉には、

「子供がかわいいなら、甘やかさないで世の中のつらさを経験させた方がよい。」

という記述がなされています。個人的にはこのことわざを反対に捉えると、子供に経験させないことはいけないことだ、という意味になるのかなぁ、と思っています。

 

ある日、このことわざをふと目にしたのですが、なんでつらさを経験させるべきなのか?という疑問が頭をよぎりました。しばらく考えていたのですが、これはメディアのテーマでもある「主体性」と関係があるのではないのかと考えるようになったのです。

 

 

大学受験を振り返る

私は大学受験のとき、英語の成績が悪く行きたい学部に行くことができなかったという大きな挫折があります。自分としてはできる最大限の勉強をやったと思っていましたが、結局成績が十分に上がらず、必要な成績を取れずに終わってしまいました。

 

ただ、今冷静になって振り返ってみると、自分が自ら勉強に対して意欲的に挑戦をしていたのは、英語の成績を上げる期間だけだったなぁ、と思うのです。他の期間では自分で何か考えたり、模索しながら勉強をしていたという記憶がどこを探しても思い出せないのです。

 

私がいた環境は、サポートが非常に手厚い場所でした。ですから、主体性を自ら発揮しなくても十分に不自由なく生活できていたのです。

 

このように振り返ってみると、主体性を発揮できる場所というのは、自分にとって居心地の良い環境ではなく、自分にとって不利な環境であるのかもしれないと気づいたのです。

 

 

あるYouTuberの話

他に自分にとって困難な環境で主体性を身につけた人はいないだろうかと考えていると、あるYouTuberの方の話を思い出しました。その方はピアノの練習を小さい頃から習い続けて、音大に入ったものの周囲のレベル差に圧倒されて一度ピアノの道を諦め、一般企業に就職したそうです。

 

しかし、その後仕事に疲れてしまい、うまくいかなくなってしまいました。そんな時に、もう一度ピアノに触れたことがきっかけで、今は街ピアノで演奏をするYouTuberとして活動をしているそうです。

もちろん、この方がさまざまな挫折や苦い経験をどのように捉えているかは私にはわかりません。しかし、私が想像するにこの方は、ピアノの道での挫折と、マッチしなかった仕事という不利な環境におかれ、ピアノに対する自分の思いを1段階深く主体的に掘り下げた結果、現在のようなYouTuberとしての成功があるのだと思うのです。

 

さらに、こうして主体性を身につけた人というのは「ブレない」人なのではないかと思います。自分の価値観がしっかりとあった上で、他の人の価値観を否定しないような人になれるのではないでしょうか。

 

他人の価値観を受容できるようになるためには、まず相手のことを考えることができるようにならなければいけません。すなわち、考える材料が自分の中になければならないのです。

 

自分がピアノのどの部分が好きだったのかについて深く考えた経験。または、できなかった英語に対して自分から勉強をした経験。一つ一つの印象に残った経験が、考える材料となるのです。

 

自分の人生に対して立ち止まって考えることをしてこなかった人は、自分の生きてきた道中の印象深い経験を持っていないからこそ、人のことを考えることができないのです。反対に、自分の人生に対して一度立ち止まって考えたことがある人は、その立ち止まって考えた経験が、他人のことを考える材料になるのです。

 

そして、この立ち止まる機会こそが、自分にとって不利な環境になるのではないかと、私自身の経験や上にもあげたYouTuberの方のエピソードから気づくことができるのではないでしょうか?相手のことを考え、相手になりきって寄り添うことによって相手の考えを理解できるようになると思います。

 

 

「旅」をすべき理由

今現在、社会の成熟に伴って、みんなが平均的に同じところにいることが理想とされる社会は終わりに近づいています。おそらく、筆者と同じ世代の人で、「一億総中流社会」を理想としている人は少ないだろうと思います。

 

ジェンダーや人種の問題でさまざまな価値観が社会の中で組み込まれていくであろう世の中で、他人の価値観を拒絶しない人、というのは将来のモデルケースになるはずです。多様性を認め合う社会の一員としてこれほど適切なモデルはいないだろうと思います。

世の中にあるつらさを経験することはこれからの多種多様な社会を生き抜いていく上で非常に大事な経験ではないのでしょうか。そう考えると、昔からあることわざというのは今も健在であることが分かります。

 

自分が今いる環境が不利な環境だと思っていても、それが自分にとって不幸な環境なのではなく、自分を強くする幸せな環境なのかもしれません。

 

今、つらい環境にいる人が、少しでもそこから抜け出した後のことを考えるきっかけになれば筆者は幸いです。

 

山田亮進のプロフィール画像

山田亮進

リアルドラゴン桜プロジェクト講師。主体的に勉強する楽しさを伝えるため日々奮闘中。オンライン授業の毎日で、生活は完全なニート状態。