
公開 : 2021.09.09 | 更新 : 2022.01.05
3分でわかる東大推薦入試
【東大推薦入試から読み解く、今求められる力とは?】
東大の推薦入試で求められている「力」は、一般入試で求められる学力とは一味違います。では、その「力」とはどんなものでしょうか。推薦入試を突破した東大生と対談することを通して、東大が求めている「力」、ひいては社会が求めているものに迫ります。
- 第 0 回 : 3分で分かる東大推薦入試
- 第 1 回 : ”自分なりの”課題に粘り強く取り組む(教育学部)
- 第 2 回 : 好きをとことん追究する(教養学部)
- 第 3 回 : 問題を本質的に捉える(法学部)
- 第 4 回 : 基礎を大切にする(理学部)
- 第 5 回 : 他人と関わりつつ自分の興味を深める(農学部)
- 第 6 回 : 作品から感じとる、伝える(文学部)
【東大推薦入試から読み解く、今求められる力とは?】
東大の推薦入試で求められている「力」は、一般入試で求められる学力とは一味違います。では、その「力」とはどんなものでしょうか。推薦入試を突破した東大生と対談することを通して、東大が求めている「力」、ひいては社会が求めているものに迫ります。
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第 0 回 : 3分で分かる東大推薦入試
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第 1 回 : ”自分なりの”課題に粘り強く取り組む(教育学部)
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第 2 回 : 好きをとことん追究する(教養学部)
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第 3 回 : 問題を本質的に捉える(法学部)
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第 4 回 : 基礎を大切にする(理学部)
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第 5 回 : 他人と関わりつつ自分の興味を深める(農学部)
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第 6 回 : 作品から感じとる、伝える(文学部)
今回から、「東大推薦生対談企画 推薦入試から読み解く、今求められる力とは?」という連載を始めます。
この企画の趣旨は、「東大の「推薦入試要項」を題材に、東大生同士で語ることで、東大が学生に求めていること、ひいては社会が求めていることを考えてみよう」というものです。
そもそも東大の推薦って?
推薦入試とは、平成28年度から始まった制度です。現在は「学校推薦型選抜」に名前を変えています。なので、正確には「東大の推薦入試」はないわけですね。ただし、便宜上この企画では「推薦入試」という名称を用いたいと思います。
推薦の基本的な特徴として、以下のようなものが挙げられます。
・定員は全学部合計で100人程度(かつて存在した後期日程試験の枠がそのまま転用)
・出願は各学部ごとに行う
・10月~11月に受付が始まり、12月頃に面接等試験が実施される
・受付段階で、論文などの成果物や資格試験、各種学術系コンテストの結果などを資料として送付する(詳細は学部ごとに異なる)
・12月頃の面接等試験は、資料による1次審査を通過した人向けに実施される
・面接等試験の後に共通テストを受験し、その結果も選抜に影響する(概ね8割以上が目安)
・2月中旬、一般入試の実施前に合格発表がある
・推薦生は、他の東大生と同様に教養学部(前期課程)に所属するが、3年生以降進学する学部は決められている(=「進学選択」に参加しない)
こうしてみると分かる通り、一般入試とはだいぶ異なった制度であることがわかりますね。入学してからの話ですが、「進学選択」に参加しないというのは大きな特徴です。
「進学選択」というのは、2年生(前期課程)から3年生(後期課程)に上がるときに、どの学部に行くかということを決定するイベントです。推薦生以外の東大生は、入学時点ではまだ3年生以降の所属が決まっていないのですが、推薦生は、入学段階ですでに決まっているということですね。
推薦入試の話に戻ります。この選抜形態について東京大学が公式に示している「基本方針」は以下の通りです。
東京大学の学校推薦型選抜は,学部学生の多様性を促進し,それによって学部教育の更なる活性化を図ることに主眼を置いて実施します。実施に当たっては,日本の中等教育における先進的取組を積極的に評価し,高等学校等の生徒の潜在的多様性を掘り起こすという観点から,日本の高等学校等との連携を重視します。
学校推薦型選抜に当たっては,本学の総合的な教育課程に適応しうる学力を有しつつ,本学で教育・研究が行われている特定の分野や活動に関する卓越した能力,若しくは極めて強い関心や学ぶ意欲を持つ志願者を求めます。東京大学は,学校推薦型選抜で入学した学生が,東京大学,ひいてはグローバル社会の活力の源として活躍することを期待しています。
要するに、東大が学部学生の多様性を促進するため、特定の分野や活動に関する卓越した能力や関心を持っている学生を選抜しようとして実施しているということですね。キーワードは「多様性」「卓越」といったところでしょうか。
対談の趣旨
そして、カルペ・ディエムLIFE編集部が今回の企画で対談するのは、東大の推薦入試に合格した学生たちです。
推薦生は、一般入試を受ける多くの学生の何倍も入試要項を読み込んで、大学が何を求めているのかをよく考えているはずです。なぜそう考えるかといえば、東大の推薦入試は、一般入試と違って過去問の蓄積が少なく、面接や提出すべき資料に至ってはそもそも情報が少ないからです。
彼らが頼れる数少ない情報源の一つが要項なので、きっと推薦生は要項にかじりついていた(?)はずでしょう。
そんな推薦生と話していくことで、大学やその先の社会が求めていることについて考えていけるのではないかと考えています。
東大が求める力がわかるのはともかくとして、なぜその先の社会の話までできると考えたのか。それは、先ほど紹介した基本方針にて、「学校推薦型選抜で入学した学生が、東京大学、ひいてはグローバル社会の活力の源として活躍することを期待して」いる、と東大自身が言っているからです。
つまり、この推薦入試について議論すれば、東大が求める力だけでなく、「(少なくとも東大が考えるところの)社会が求める力」についても十分深めていけるということですね。
そんな思いで、これからの企画を進めていきます。お楽しみに!

河内誠人
カルペディエムLIFE編集長。法学部で勉強中。数年ぶりに紙のカードゲーム(デュエルマスターズ)復帰しました。