
公開 : 2021.06.30 | 更新 : 2021.11.22
主体性は伝染するのか
突然ですが、「5人の法則」ってみなさんご存知ですか?
思考だったり、生活様式だったり、年収だったりが、自分が最も長く時間を過ごす5人の平均値に規定されるというものです。
31歳で億万長者になったジムローンの、
「あなたは最も多くの時間をともに過ごしている5人の平均である。」
という言葉が由来となっています。
本当にそうなの?となるかもしれませんが、具体的に想像してみると意外とピンとくるかもしれません。
例えば、あなたはいま小学生で、二つの進学先があったとします。
一つ目は、地元の公立中学校。家からの距離も近く、周りの多くの友達が進学するが、近頃あまり良い噂を聞かない状態だとします。
もう一つは、少し離れたところの私立中学校。電車を使用しての通学になり、地元の友達とも離れ離れになりますが、地元の公立中学校のように荒れているような噂はなく、穏やかに学校生活が送れそうな校風だとします。

さて、それぞれに進学した時、あなた自身はどう変わるでしょうか。
公立中学校に進学したら、悪い先輩の影響でよからぬことに手を出してしまうかもしれません。あるいは、学校内で問題がよく起こるという環境によって、あまり勉強に手がつかないというようなこともあり得ます。ただしその分、抑圧された状況下での立ち回り方が上手になるということも考えられるかもしれません。
一方で私立中学校に進学したら、少なくとも悪い先輩に影響を受けるというような心配は無くなるでしょう。安心した穏やかな環境で勉強をすることができるかもしれません。
この例は学校単位でしたが、クラス単位でも同じことが言えると思います。やんちゃなグループにいたらやんちゃなことをよくするようになるし、真面目なグループにいたらやんちゃなこととはあまり関わらないようになる。そういうことです。
このように、自分が身を置く環境によって、自分は大きく変化すると考えられます。周りの5人がどう出るかによって、自分の進退が大きく左右されるのです。
前置きが長くなってしまいましたが、この5人の法則って、主体性に関しても言えるんじゃないかなって思っています。つまりは、周りの5人が主体的であるならば、自分も主体的になれるのではないか、ということです。
トビタツ前と後
私の話になりますが、高校2年生の時にトビタテ!留学JAPANという支援金制度を利用して、カナダに留学をしたことがあります。この制度は文部科学省が行っているもので、留学計画や自分のアピールポイントなどをまとめた書類による書類審査、面接官との面接審査の二つの審査を通過することで受けられる制度となっていました。
(文部科学省HP:https://tobitate.mext.go.jp)
国が行なっている制度ということもあって、事前研修や事後研修などがかなり手厚く設定されており、同期のトビタテ生と関わる機会もふんだんに用意されていました。
中でも事前研修は、同期の約半数(私の代は採用が500人でしたので、250人~300人程度となります。)が一堂に集まり、留学計画や自らの夢について語り合うというような営みが行われていました。
この事前研修で分かったこと。
このトビタテのコミュニティ、熱量がとにかく高い。自分のやりたいことに向かってまっしぐらに行動し続けられるような気概というか、自分のやりたいことに対する高い熱意というか、そういったものをビンビンと感じるような集団だったんです。彼らはまさに、主体的に行動しているという感じでした。
私は当時、将来やりたいことも具体的には決まっておらず、このトビタテの制度にも「なんとなく」応募した人間でした。
でもこの集団の中で過ごしてみて、私の気持ちは大きく変わりました。誠実に自分のやりたいことと向き合う彼らに感化されて、私もこの留学を全力で実のあるものにしようと思うようになったのです。
この気持ちは、留学先でも続きました。一緒の留学先だったトビタテ生とともに、いろんなことにチャレンジしていこうという気持ちでいられたのです。
留学先には、トビタテ生以外にも多くの日本人がいました。きっと、元々の私だったら、同じ日本人と一緒に行動して、留学している意味がないような状況になっていたと思います。
でも主体的な同期もその場にいたからこそ、日本人コミュニティに留まらず、他のコミュニティにも飛び込んでいくことができました。その結果二人で遊びにも行けるようなベラルーシの友達ができたことは、自分がこの留学を通して成長できた証だろうと思います。
しかし。この気持ちは帰国後までは続きませんでした。最初は事後研修などもあって連絡を取り合っていたトビタテ生とも段々と疎遠になり、留学中までに抱いていたあの熱量は急速に失われていくような感覚に陥ったのです。
この経験から、やっぱり周りの人間から受ける影響って大きいんだな、と思ったことをよく覚えています。
主体性は伝染する

ということで、自分の主体性も周りの5人の主体性の平均値に規定される、つまりは主体性の高低は周りの人に伝染するのではないかという話でした。
この5人の法則の考え方は少し他人本位で、自分が抱える悪い部分を棚上げしてしまっているようなところもあるかもしれません。
しかし、他人から全く影響を受けないような人っていないと思うんです。私の場合はかなり人から影響を受けやすいタイプだったので、5人の法則もけっこう適応される方だと思います。でも、影響を受けにくいタイプの人だって、「5人」によっては、この法則が適応されることだってあるんじゃないでしょうか。
「主体的になりたい」
「自分を変えたい」
そんな思いを抱える人にとって、それを実現する一つのヒントとして、5人の法則という言葉を捉えてもらえたら幸いです。
参考
文部科学省|https://tobitate.mext.go.jp
めいちゃん
教育学部で勉強中。生き方はジブリから学びました。トトロのめいちゃんみたいな健康女子になることが夢。