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東大生が考察!“Actually…“が欅坂化などしていないと思うわけ

東大生が考察!“Actually…“が欅坂化などしていないと思うわけ

 

前回のシングル『君に叱られた』からはじまった曲考察シリーズ第2弾!ということで、今回は、乃木坂46の新曲『Actually…』について考えていきたいと思います。

前回の『君に叱られた』を考察した記事はこちらです(画像を押すと記事に飛びます)。

 

 

実はこの『Actually…』の歌詞を読み解くことで、あることが分かります。それは、1期2期が卒業し、3期4期がメインとなってきた転換期の乃木坂46が、今までの乃木坂も継承しつつ、新たなチャレンジをしているということです!

 

さらに今回は、5期生という全くの新メンバーも加入した最初のシングルです。新しい風と今までの乃木坂。それらをどうミックスさせているのか、気になりませんか? 今回はこの点について深掘りしていこうと思います! これを通して、新シングルをより楽しめるようになるはずです!

 

歌詞からわかる乃木坂46からのメッセージ

 

それでは早速、この曲の歌詞について考えていきましょう。今回私は、主に2つの点に着目しました。

 

「何をチャレンジしたかったのか?」

「欅坂46の雰囲気は本当に移植されたのか?」

 

この2点です。

 

 

①何をチャレンジしたかったのか?

 

今回は新たに5期生を本格的に迎えた最初のシングルです。これまで、新規生をはじめて迎える形で制作された3曲は『バレッタ』、『逃げ水』、『夜明けまで強がらなくてもいい』です。

 

3曲とも、印象深い曲ですよね。バレッタでは1stシングルの『ぐるぐるカーテン』を思わせるような歌詞があったり、逃げ水は途中でドビュッシーの『月の光』が挿入されたりと何かしらの斬新な要素を入れてくるという印象があります。

 

今回の曲では、まず新たな作曲家を迎えた、という点で新しい挑戦をしたのではないかと思います。ただ、それ以上に斬新なポイントが含まれており、やはり新たな乃木坂を印象付けるものとなっていると思うのです。一体なんでしょうか?

 

それは、曲中で用いられる英語の多さです。

 

『Actually…』という英語のタイトル。そして要所要所で挟まれる英語の歌詞。

 

歌詞にこれだけ多くの英語が使われた曲を表題曲にするには、相当流暢に英語を話せるメンバーが存在しないといけないでしょう。

 

実は、語句レベルや短文レベルなら、英語が使われている曲もいくつか存在します。『欲望のリインカーネーション』などがそれです。

 

しかし、表題曲でこれだけ多くの英文が挿入された歌詞は初めてになります。これはまさに「チャレンジ」と言っていいのではないでしょうか。

 

今回、清宮レイさんという4期生がその歌詞を歌割りで担当しているようです。清宮さんは帰国子女で、英語も流暢に話すことを持ち味の1つとしています。今回、それが曲中に反映されたと言えます。

 

さらに、公式サイトも多言語に対応する中、実際に英語が話せるメンバーが増えてきたことを曲でも象徴したいのではないか、と私は思っています。今後、完全に英語のみの曲などがカップリングで発表されるかもしれませんね。

 

 

 

②欅坂46の雰囲気は本当に移植されたのか?

 

『Actually…』が発表された直後、欅坂46の世界観とこの曲が似ているのではないか? という意見が見られました。この点について歌詞から考えていきたいと思います。

 

この曲は、マイナーな曲調、暗い歌詞、世界と自分との対比構造などが特徴です。確かに一見「欅坂に提供するはずの楽曲なのではないか?」と思ってしまうほど、欅坂っぽい印象を受けます。

 

もちろん、同じプロデューサーの方がプロデュースしているので似た雰囲気の曲が出てくるのはしょうがないことかもしれません。

 

しかし、本当に歌詞のメッセージが似ているのか? という点は、よく歌詞を読んでから判断したいところです。

 

そこで、まずは欅坂の曲調や歌詞に込められたメッセージについて確認してみましょう。

 

欅坂の歌詞の特徴は、「若者が世間に歯向かう」ということが一貫して描かれていることです。『サイレントマジョリティー』はその代表ですね。

 

そこには、「時に心が折れそうになっても、それでも世の中にチャレンジしていこう」という精神が見てとれます(ちなみに『黒い羊』で、主人公はその希望すら失われて絶望し、欅坂のシングルも幕を閉じるというなんとも数奇な運命を感じさせるのですが)。

 

「君は君らしくやりたいことをやるだけさ one of them に成り下がるな」

など、自分らしく歩もう、周りに流されずに、という印象を受ける歌詞が並んでいるんですよね。

 

 

では、欅坂の特徴を大まかに振り返ったところで、今回の乃木坂の新曲に戻ってみます。『Actually…』の歌詞はどうなっているでしょうか?

 

「You know I need to find something, real bad…」

 

微笑むその度に

無理していたって思い出す

青空 描くには (Not yet)

風が何色か 知るべきでしょう

足りないもの

 

Actually… Wow wow

わかってない (何にも)

この世界の美しさ そう (その醜さも)

Actually… Wow wow

気づいてない (自分自身)

理想が邪魔して 真実を見失う

 

こちらが1番の歌詞になります。この主人公は、自分にとって世界はどんなものなのか?を理解したいと思っているようです。それを「描く」という言葉を使って表現しています。

 

そして世界を理解する=「描く」にあたって、「自分には足りないものがある」と考えているようです。世界の真実があると思ってそれに向かっていくが、(自分の)理想がそれを妨げる。これが、ここまでで描かれていることです。

 

真実をポジティブに捉えるのではなく、ネガティブにも捉えていることもわかります。

 

くしゃみが出てしまう

眩しい太陽 見上げると (Why?)

一番 隠したい (secret)

何か 目を逸らす

自然の摂理

知るべきことだ

 

Actually… Wow wow

曖昧な… (何かが)

生きることのその意味を

そう (難しくする)

Actually… Wow wow

YesとNoを (どっちでも)

どうせ未来は 1mmも変わらない

 

こちらは2番の歌詞になります。世界を理解するためには、あまり見たくないものも見ていなければいけない、と考えているようです。

 

見たくないものだからこそ、できることなら避けたい。しかし、避けたいと思うそれこそ、生きていく上ではまさに知るべきことだ。避けていては、「なぜ生きているのだろうか」、という問いが迷宮入りしてしまう。

 

確かに世の中に対して多少反抗的ではありますが、何かしらの行動に移すというようなタイプではなく陰影が色濃く映る主人公像が浮かび上がってきます。能動的ではありません。

 

嘘じゃない

「I’m telling you the truth, no lies」

見えてる現実は一部でしょう

表面的 (協調性) 嫌ってるのは

誰でもなく自分 (Wow)

 

Actually… Wow wow

わかってない (何にも)

この世界の美しさ そう (その醜さも)

Actually… Wow wow

気づいてない (自分自身)

理想が邪魔して 真実を見失う

 

Wow wow そう 実際は (思い違い)

そんな心配は 臆病な言い訳だ

 

こちらは残りの歌詞になります。最後、突然、「実際は思い違い」なんだ、と言い出すのです。かなりここは飛躍しているように見えますし、実際様々な解釈が可能でしょう。

 

ただ、私はこの最後のフレーズを主人公が自分に言い聞かせている、と考えました。このように考えると、以下のような推測があり得ます。

 

世界というのはよくわかっていないし、知らないこともある。自分が見えているものなどは全てではない。しかし、実際は(「Actually」)そのようなことを言っているのは、世界を知らないでいることに対する言い訳にすぎないのだ。自分はただの臆病者である。だからこそ、まずは歩み出すべきなのだ。

 

ダンスの最後は全員が後ろを振り向き、一歩ずつ歩く振り付けが導入されているため、歩み出すという観点があるのではないか、ということが考えられる理由も存在しています。

 

世界を理解しようとするが、それは悪いものかもしれないから、見たくない。さらに、全体を見渡すことはできないと考えている。

 

しかし、そんなことを思っているのは思い込みであり、そうではない。そう考えるのではなく世界を理解するために動き出そうというように思考が転換していくのではないかと思います。

 

 

実は、ここにこそ欅坂の歌詞との決定的な差があります。

 

それは、「自分の考えの正しさを検討する」という姿勢です。

 

これが、乃木坂がこの曲を歌う意味になるのではないでしょうか? 乃木坂は「清純」などといったいわゆる「らしさ」というものが強調されてきました。インタビューなどでも、メンバーからは何度も「乃木坂らしさ」というフレーズが出てきています。

 

そのような「らしさ」ということが強調されてしまったグループ。

そして、10年という節目を迎えたグループ。

 

この乃木坂46が「自分はこう」と思っていることの正しさを貫きつつ、最終的には本当にいいだろうか、と問うような曲を歌う。そして、これを聴いた私たちも、少し立ち止まって自分と世の中の距離を測るきっかけを与えてくれる。

 

自己の内面を見つめ直すといったことがテーマとなるのは、乃木坂の自己啓発系の曲(『何度目の青空か?』など)がずっと受け継いできているメッセージです。

 

実は欅坂の曲は、「自分の内面を変えよう」というメッセージよりは、「自分の考えをブラさずに世の中に挑戦していこう」というメッセージの方が圧倒的に強く押し出されています。だからこそ、この曲はやはり欅坂の曲とは一線を画す曲だと考えています。

 

 

さて、いかがだったでしょうか? この曲も最初に聞くと、様々なもやもやが残る曲かもしれません。しかし、曲調、歌詞、ダンスの3点だけを純粋に見つめることによって、乃木坂が継承する部分と、新たに挑戦したいきたい部分がそれぞれ見えてくるのではないでしょうか?

 

実際にこの曲は、挑戦と継承の均衡がよく取れた曲なのです。

 

 

山田亮進のプロフィール画像

山田亮進

リアルドラゴン桜プロジェクト講師。主体的に勉強する楽しさを伝えるため日々奮闘中。オンライン授業の毎日で、生活は完全なニート状態。